2013年3月3日日曜日

Lala Stone





Vogue Paris Feb 2009
Translated by Mia

Olivier Zahm(以下OZ):Wikipediaの君の記事のところを読んだよ。すごく退屈な記事だったから、このインタビューがとんでもないことになるのを願うよ。
Lara Stone(以下Lara):そうなるといいわね!(笑)Wikipediaは私の本当の誕生日さえちゃんと表記されてないからね。

OZ:えーと、1983年生まれで良かったんだっけ?
Lara:そう。予定日より1ヶ月半早く生まれたの。生まれたときは肝臓が正しく機能してなくて、超未熟児で黄疸もあったわ。だから両親にはそのせいで過保護に育てられたの。でもそれも上手くいかなかったのよ。私は間違ったルートを取るから、自分ですら制止できないの。

OZ:80年代はどう思う?
Lara:面白い時代だったって印象かな。この年齢で60年代や70年代を見られたらとても素敵だと思うの。

OZ:ノスタルジックなの?
Lara:もちろん。90年代って何だか退屈。80年代はヒッピーやロック、パンクなんかがあったけど…90年代には何があった?スパイス・ガールズよ!今じゃニルヴァーナが大好きだけど、当時の私は若すぎて理解出来なかった。あの頃はバック・ストリート・ボーイズが大好きだったの(笑)本当にふざけた話でしょ!

OZ:君はオランダで育ってきたんだよね。あまりファッションに精通してない国じゃない?
Lara:そうでもないわ、オランダ人は頑張ってるのよ…。

OZ:だけどオランダはとてもデザインで優れているし、建築も素晴らしい。
Lara:そうね。とても良い学校があるのに、才能のある人は離れていってしまうのよ。なんて小さい国なんでしょうね!みんな他の場所に成功を求めているのよ!
私の場合は逃げたかったの。それはファッションのことじゃなくて、とても難しい問題なんだけどね、私はとにかくいつもエスケープしたいと思ってたの!

OZ:何から逃げたかったの?
Lara:自分自身、自己不信ね!(笑)

OZ:愛からじゃなくて?
Lara:違うわ、私は愛を愛してるもの。

OZ:このキャリアを手に出来たことにも愛を?
Lara:もちろん。

OZ:赤ちゃんを持つのにも愛が…
Lara:一度、赤ちゃんが欲しいとすごく強く思った時期もあったけど、それにはまだまだ準備が出来てないって気付いたの。

OZ:10年後のこの業界の中で、更に赤ちゃんも持つなんて可能かな?眠る時間はない、仕事で旅してる、食事も満足にできない…君が丈夫なDNAを持ってるといいけど。
Lara:私もそう願いたいわ。でも何であろうと健康には良くないわね!

OZ:君の笑顔も素晴らしいDNAのうちだね。ハッピーな歯!
Lara:私の歯医者が矯正させてくれなかったから前歯にこんな隙間ができたのよ。でも問題だとは思わないの。これのおかげで稼げてるからね!

OZ:だけど今じゃこんなに成功してるのにも関わらず、自分が美しいって受け入れられないんだよね。
Lara:本心から自分が“美しい”だなんて思わないのよ。

OZ:もはや笑い事じゃなさそうだね。
Lara:私がふざけてると思う?一度でもあなたを笑わせたかしら。

OZ:そうだね、でも君は僕が電話したのに出てくれなかったじゃないか。全然笑えないね。
Lara:何てことしたのかしら!(笑)

OZ:でもファッション業界での君の経験上、プロが君の美しさを形に表したいと、表すことが彼らの夢を投影しているってことを知っておくべきだよね。
Lara:そうね、とても。
初めてあなたをイタリアのキャットウォークから見たときのことを覚えてるわ。確かPradaのショーだった。惹き付けられて、あなたを知りたいって好奇心が湧いて、あなたのホテルに私の雑誌のサンプルと電話番号を送ったのよ。そしてこう思ったわ、“こんな女の子、普通のモデルじゃないわね”って。
それであなたはメモに電話番号と“ララ、愛してるよ。電話してね。”って、そんな感じのことを書いたのよ。

OZ:なのに君は電話をくれなかった!
Lara:そうね、無視したの!でも今になってわかるのは、あの時電話してたら少しは運がついてたのかなってこと。

OZ:でも僕は90年代出身だよ。クリステン・マクメナミーやミラ・ジョボヴィッチ、グィネヴィア・ヴァン・シーナスのようなアンチファッションモデルが好きだったし。キャットウォークでの彼女達は“Wow!”って感じだったよ。華々しさはないものの、生き生きとしていてくだらないゲームなんかしなかった。僕はその頃と同じものを君に見てるんだ。だから君に会いたかったし、一緒にお酒でも呑めたらって。
Lara:私と呑みに行くなんて!とても良いアプローチね!(笑)

OZ:でも真剣な話、君は他のモデルと違うよ。それに僕としては、一緒に仕事をしたいと思う人を知っておかなきゃいけないと考えてるからね。
Lara:もうすぐ25歳よ。私には生活があって、ランウェイを行ったり来たりっていうのはしたくない。どんな状況であろうとハイヒールを履いて歩けないの。
みんなが見つめてるのが本当に怖いのよ…ヒドイものでしょ。

OZ:いつも怖いの?
Lara:そう、ランウェイはね。恐怖よ!考えただけで恐ろしいわ!“ほら行くよ!”って言われて色んな人が自分を見つめてる中、カメラのシャッターを自分に向けている中を歩き出さなきゃいけないのよ。しかも全然フィットしてない靴を履いて歩かなきゃいけない。一歩一歩踏み出す度にこう思うの、“転ばない!転ばない!”って。
OZ:なるほど。君を見てると“型にはまった美しさ”ではないように思うんだけど。どう?
Lara:それに私はすごくヘヴィーだしね。

OZ:そうだよね、それがすごくセクシーなんだよ。70年代のプレイボーイのようなボディを持ってる。
Lara:そうよ、たっぷりと写真を修正した後のね。

OZ:そうだよ!プレイボーイは修正ばっかりだったね!思うんだけど、君の美しさのタイプってとても珍しいよね。顔も少し不思議だし、素晴らしい前歯と生き生きとした瞳…。
Lara:ありがとう!とても気分を良くしてくれて感謝するわ!

OZ:皮肉じゃないって!それに君の肌はすごく真珠のようだし…。
Lara:ありがとう、ありがとね…すごく心地良いことを言ってくれて!

OZ:そうかな?気に障ったかい?
Lara:“君は不思議な顔で、大きな隙間の前歯で、本当にパールのような肌で…”って!ちょっと待ってよ!(笑)

OZ:それにナチュラルなブロンドヘアーだ。そしていつもアンハッピーな雰囲気を出してるね…。
Lara:そう、そう。最高じゃない!

OZ:そのうえ君はハイヒールでの歩き方も知らない。それが今日の国際的トップモデルの君を作ってる。
Lara:全くその通りよ(笑)もう十分かしら!

OZ:でも君はフォトグラファーから愛されるし、みんな君を撮りたがるよね。カメラの前では何を感じてるの?
Lara:楽に感じてるわ。とてもエンターテイメントみたいなものでしょ。このVogueにしてもそうだけど、例えば仕事を一緒にしたことがないフォトグラファーは沢山いる。Heidi Slimaneとかね。彼とのミーティングを想像すると少しナーバスになっちゃうのよ。何故なら彼の撮ってるDiorが昔から大好きだから。それに彼の写真ってとてもびっくりさせられるじゃない!例え様々な人達と毎日仕事をしなくちゃいけなくても、そんなパフォーマンスが私は大好きなの。

OZ:そして君はキャラクターの中に入っていく。
Lara:そう、それもエンターテイメント。多分私って完全に人格がコロコロ変わるみたいなの。沢山のパーソナリティを持ってるから、それが私にとっては良いのね。

OZ:それが君が成功した理由だろうね。
Lara:そんなのわからないわよね。誰かから聞いた話?(笑)

OZ:じゃあどう説明するの?
Lara:わからない、単純に全て運だと思う。だってここには沢山の女の子達がいて、みんな一生懸命働いてるんだもの。


OZ:服は好き?
Lara:いいえ。

OZ:デザイナーに興味は?
Lara:ごめんなさい、ないのよ!個人的に彼らのことは好きだけど、“信じられない、絶対この靴欲しい!このバッグも!見てよ!”なんて絶対言ったりしないもの。人として、友人として彼らのことは好きよ。

OZ:例えば誰?リカルド・ティッシ?
Lara:そうね、リカルドのことは大好きだし、彼は世界で1番優しい人。それにジャン・ポール・ゴルチェやBalmainのクリストフ・ドゥカルナンも大好きだし無視できないけど、特に女性デザイナーのステラ・マッカートニーとミウッチャ…彼女達に会ったときはもちろんビビってたわ。だってあの有名なミス・プラダだし、気に止めてもらえなくても…でも彼女はすごく優しい女性なのよ。

OZ:デザイナー達とは個人的なコンタクトを取るのは好き?
Lara:彼らのことを好きじゃなかったら一緒に仕事してないわ。

OZ:ヌードのポージングは恥ずかしかったりする?
Lara:ううん、気にしてない。いつも裸ってわけじゃないし、逆に反対する人だっている。でも何が悪いって言うのかしら?とても人間的なことなのに。

OZ:多分その理由のひとつは、君がオランダ人だってことじゃないかな。オランダ人ってとてもナチュラルな人達だろ?
Lara:確か10代の頃は絶対にやらなかったわ。でも10年間のキャリアを積んで、ヌードでも楽に感じるようになったの。今は自分のボディを楽に思ってるし、みんなに見られようが気にならない。



OZ:タトゥーはある?
Lara:ない。

OZ:ピアスは?
Lara:ピアスもない。以前に胸に1つ開けたけど、取ったし。もう元に戻せないしすごく面倒くさいし、まぁとにかく好きじゃないのよ。

OZ:10年後のキャリアは…
Lara:勘弁して…その質問ってすごく気が滅入るの!

OZ:10年後はどうなってるだろうね?
Lara: 疲れてる。

OZ:10年後、それよりもっと先に期待してる?
Lara:多分。私はまだこの仕事が好きだし。それに良い子だからと言って良い写真が撮れるだなんて信じてないの。ヒドイ態度だろうと、それと写真とは切り離して考えてる。

OZ:他に何かしようとかは?
Lara:ないかな。でも昔、マクドナルドで働いてたのよ!(笑)その頃は沢山問題を起こしてて、ハイスクールを退学させられときだった。最終的に学校は卒業したけど、退学したときに両親とオランダの事務所と私とでキャリアのためにもパリに行こうって決めたの。そのときが16歳だった。
8年間は稼げなくて切符も何もかも買えなかったから、パリの地下鉄を改札を通らずに抜けていたわ。母は1週間に一度お金を送ってくれて、事務所にもお金を送ってもらってた。怖かったのがね、一度、事務所がお金をくれなくなって、逆に私が事務所に支払わなきゃいけないって言われたわ。 

OZ:つまり、君の借金としてカウントされちゃったんだ?
Lara:そうなの、全てカウントされたわ。恐ろしいでしょ。若いときに、まぁ今でもそうだけど、沢山の借金があるってわかるとそれはそれは恐ろしいものよ。それで事務所は私のブックをほぼ全てドイツのカタログ系の仕事で埋めたの。だから私はにっこり笑ったり、跳び跳ねたりして…1ヶ月で借金は払い戻したのよ。あれはよくやったわ。

OZ:君のキャリアは2006年のジバンシィのショーで軌道に乗ったと言っていいのかな?
Lara:そうね、それと3度目のショーに出た2007年の1月。リカルドはカリーヌ・ロワトフェルドに電話しながらこう言ったの、“女の子を見つけたんだ。きっと君も気に入るよ”って。

OZ:君はこの先もリンダやケイト、ナオミやクリスティ、クラウディアのようなスーパーモデル世代のように知られていくんだろうね。
Lara:ノー、ノー、彼女達と比べることは出来ないわ!彼女達はとてつもないもの!ケイトは未だにまだスーパーモデルだし、あんなに長くモデルとして活動できてるなんて信じられない。リンダやナオミ…彼女達はみんなスターなのよ。

OZ:さっきからどうしてそんなに卑下するの?
Lara:この先もそうでしょうね、オリヴィエ君!(笑)

OZ:君は別の星に生きてるんだね!
Lara:そう、ララランドよ(おとぎの国)!でも現代は昔と比べて全然違うでしょ。

OZ:そうだね、でも今のような不景気なときこそ僕達は強くて、パワフルで、恐れがなく、セクシーで…そんな女の子を必要としているんだよ。いくらでも替わりのいるような痩せ細ったロシアン・ビューティ達じゃなくてね。
Lara:すごく嬉しいこと言ってくれるのね、ありがとう。




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